2007年5月、35年振りにウィーンを訪れました。
思えば、35年前シベリアを経由し、最初に西欧の町にたどり着いたのがこのウィーンでした。モスクワから列車で丸2日間、横浜を出てから12日目、ウィーンの南駅に着いたのを鮮明に覚えています。
もちろん今回は空路パリ経由でウィーンに来ました。成田空港を飛び立った翌日には到着しました。
40年前に来たときは学生時代で、今にも増してお金が無かったため、宿泊はフュッテルドルフにあったユースホステルでした。当時は地下鉄G線の終点で降り、歩いて数分だたように記憶しています。
青春時代の思い出のホステルを再び訪れてみたい気持ちで一杯でしたが、残念ながら時間の都合でそれは叶いませんでした。(飲む時間は充分あったのですが・・・)
市内のシュテファンドム寺院やシェーンブルン宮殿などの名所は昔のままでしたが、観光客が以前に比べてだいぶ増えたようです。
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シュタット・パルク
ウィーンでの楽しみは・・・
学生時代には訪れることのなかった「ホイリゲ」で一杯やることです。それが今回の旅での最大の目的でした。日本語では「ホイリゲ」と言いますが、ドイツ語での発音は「ホイリガー」です!
「ホイリゲ」とは、簡単に言えば「居酒屋」です。安くてうまいワイン、つまみもいろいろあります。菩提樹の下、屋外のガルテンで飲むワインは最高の雰囲気です。
そんなわけで連日「ホイリゲ」通いとなりました。
ウィーン大学近くのショッテントア-からトラム(市電)で20分くらい、終点のグリッツングに降り立つと・・・・あるある!
どのホイリゲもそれぞれ雰囲気があります。
つまみは原則的にはカウンターへ行って好きなものを注文し、そこで支払います。ワインはテーブルでの注文となります。
大きなデキャンターになみなみと入ったワイン・・・。どうも雰囲気のためか飲みすぎてしまいがちです。
外国からの観光客グループもとても多いようです。というよりほとんどが外国人観光客のようです。
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ホイリゲにて仲間と
いろいろな言語が聞こえてます。
ロシア、ハンガーリー、スペイン、米国、スロバキア、ポーランド、中国、韓国・・・・・そして我々日本人。
暗くなり始めると、生バンドが入ります。
それぞれのテーブルに来て、客の母国の民謡を演奏するのですが、ロシアやスロバキアの連中はかなり盛り上がっていました。日本の客もよく来るらしく、バンドもよく日本の歌を知っています。
でも、あまり調子に乗って頼むと、チップを奮発しなければなりません。 その点はほどほどに。
見ると、我々の隣のテーブルで我々をにこにこ眺めながら独り静かにワインを楽しんでいる老人がいました。彼はドイツ語しか話せませんでしたが話しかけてみました。
彼はこう言っていました。「昔は、あなた方のような観光客はほとんど見なかった。皆さんが来るようになってにぎやかになり楽しくなった反面、ひとりで静かに飲むのが難しくなった。」と・・・。
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彼は生粋のウィーン子で、今でもウィーンで弁護士として働いているようです。次にこの町を訪れた時は彼とゆっくり飲んでみたいものです。
(2007年筆)
その後何度か訪れています。
もちろん、訪れるたびにシュテファンダム等の名所にも行ってみますが、今回はウイーンの北部地区、ベートーヴェンゆかりの地「ハイリゲンシュタット」をくまなく歩いてみました。
近くのグリッツングのホイリゲにはしばしば行ったことがありますが、ウイーンに来てハイリゲンシュタットを落ち着いて回ることはいままでありませんでした。
地下鉄でハイリゲンシュタットの駅まで行き、後はほとんど徒歩で回ってみました。
「ベートーヴェンルーエ」との標識に従って、進むと、かつてベートーヴェンが交響曲第6番「田園」の楽想を練ったというベートーヴェンの小路がありました。
しばらく「田園」を口ずさみながら歩きましたが、誰一人会いません。
ベートーヴェンハウスに行っても観光客は誰もいません。 とても静かな雰囲気です。
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ヴェートーベンハウス ブドウ畑
市街から一歩北に進むと起伏を持ったブドウ畑が延々と続いています。
ここがウイーンの一角なのかと疑う風景です。
翌日はT氏と一緒に行動しました。彼は高いところが好きです。というわけで、もちろん観覧車に乗りました。
何度かこのウイーンを訪れましたが、この観覧車に乗ったのは最初に来た学生の時と今回だけ・・・。
観覧車乗り場にはたくさんの観光客が来ていましたが、ほとんどが年配者! 子供など一人もいません。
「第三の男」の郷愁を求めて来た人ばかりだと思います。
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プラッター観覧車
翌々日は、前記の、学生時代に泊まったユースホステルに行ってみようと思い、ヒュッテルドルフに行きました。
遠い昔の記憶を他とりながら探してみると・・・、駅の近くではなく、丘の上でした。そういえば・・・確かにこの坂道を登ったことがある・・・と思い出しました。ユースホステルはすっかり建て直されて近代的になっていました。
(2010年筆)
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学生時代 ウィーンにて〈1971年〉
作品 水彩
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