サンジミニャーノ
サンジミ

この村はイタリアのトスカーナにあります。
以前から行ってみたいと思っていたので、1982年に南フランスを訪れた際に足を伸ばしてみました。
コートダジュールを後に、ローマ行きの列車でリビエラ海岸に沿って一路東に向かいました。
途中、ジェノヴァを通り、ピサでフィレンツェ行きに乗り換え、エンポリーでシエナ行きに乗り換えました。
エンポリーで仲間の1人が網棚に荷物を置き忘れるといったハプニングがあったため、サン・ジミニャーノ行きのバスが出るポジボンスィに着くと、辺りはすっかり暗くなってしまいました。
おまけに、土砂降りの雨です。
ここからサン・ジミニャーノまでバスで20分位のはずなのですが・・・。
バスがどこから出るのか分からないし、タクシーは1台もありません。
フランス語は通じません。


うやくバスがどこから出るのかは分かりましたが、今度は切符の買い方が分かりません。
てっきり駅で売っているものと思い、窓口嬢に「サン・ジミニャーノ」と言うが首を横に振ります。
指を指して、「あそこで売っている」というのが何となく理解できるが、その「あそこ」がどこなのか何としても分かりません。  
バスの切符はキオスクで売っていました。
フランスならこんなに手こずらないのですが・・・、と思いながらも、何とかサンジミニャーノに着きました。
村の入り口のサン・ジョヴァンニ門をくぐったとたんに、苦労して来た甲斐があったと思いました。
ホテルに着くと皆じっとしておれず、夜の村に出てみました。この村のメイン通りサン・ジョヴァンニ通りを進むと、ドゥオモに面して小さな広場があり、古い建物といくつもの塔が天に向かっています。
ライトに照らされた村をしばらく歩き回り、みなそれぞれ翌日の写生地のめぼしをつけたようでした。
その夜はヴィーノで乾杯! (毎日乾杯しているが・・・) 
翌日は何とか雨も上がり、それぞれ気に入った場所で描くことができました。
私は、午前中は村の中で1枚描き、午後は村から少し離れた農家の軒下を借りて、村の全景を描くことにしました。時間が止まったような静寂しきった中に、時折、村の教会の鐘の音が聞こえてきます。

しばらくのんびりと描いていると、遠くから鳥打ち帽をかぶったハンターが鉄砲を肩に掛け、立派な猟犬を連れてやってきました。

私の脇にしゃがみ込み、タバコを吹かしながら、「今日は獲物が何もない。俺も愛犬も頑張ったのだが・・・。今日はキジにしてやられた」、というようなことを言っていたのでしょう。
しかし、解ったのは最初の「ボンジョルノ」と最後の「チャオ」だけでした。
ホテルに戻り、その夜もヴィーノで乾杯  (1992年筆)



16の塔が現存する中世の村。
20
数年ぶりに訪れました。しかも、20数年前に同行した高瀬氏と。
トスカーナ地方ではかなり有名な観光地になっていました。

村は小さいので村の観光は一時間もあれば充分なのですが・・・。
かつて描いた同じ場所で描いてみました。
それを100号の絵にして一期展にも出品しました。その絵は現在前橋市の日赤病院にあります。
隣には狩野守の風景画もあります。
懐かしさのあまり、20数年前に泊ったホテル「ベル・ソジョルノ」に今回も宿泊しました。
フロントの女主人に20年前にレストランで撮った写真を見せると感激してくれました。
もちろんその夜はそのレストランで・・・。
今回は写真にレストランのシェフも加わってくれました。 (2010年筆)

ホテル ホテル
         1982年                       2010年