コート・ダジュールの都、ニース
南フランスを描こうとすると、一番簡単に行くための入り口となるのがニースまたはマルセイユです。
いつもだったら、画材を購入してからすぐにニース近郊の町や村に行くのですが……。(飛行機には油彩絵具の溶き油やブラシ・クリーナーを持ち込めませんので、着いたらすぐに購入しないと絵が描けません。)
この時は珍しくニースに宿泊しました。とはいってもユースホステルに2泊だけですが…。
設備がとても素晴らしいユースホステルでした。
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すでに10回以上訪れている町なので、特段どこに行くでもなく旧市街を中心にぶらぶら歩きました。マセナ広場、プロムナード・デ・ザングレー…。花市場から旧市街、そして旧港……。私の好きなスケッチ場所というと、なんといっても旧港です。というのは比較的に観光客が少なくてゆっくりと腰を据えて描けるからです。とは言っても、他の町の港と同じくたくさんのヨットが係留されているので、そのマストがたくさんあります。それをうまく表現するのにだいぶ時間がかかります。でもここが一番ニースらしい風景だと思います。
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ニース旧港
旧市街もいいのですが、人が多くて狭くて…、イーゼルを立てて描くわけにはいきません。
よく日本の展覧会を見るとニースの風景で、ネグレスコとプロムナード・デ・ザングレーを描いた作品を見かけますが、どうも私にとって絵を描くポイントとしてはあまり好きではありません。たまに、「この絵はどこから描いたのだろう?」と思う作品にも出会います。海上からでないと描けないアングルだったりして(船をチャーターして描いたのかもしれませんが?)…または、どう見ても上空から描かれている作品などなど……。
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マセナ広場 旧市街
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ニース旧港 油彩30号
二日目は連れをホステルに残して奥プロヴァンスに電車で行ってみることにしました。
一日に何本もない列車なので、駅でよく聞いてから出発しました。
ニースを出てしばらく走ると、周りの景色は山岳の風景になりました。
聞いたことのない駅をいくつか過ぎて、列車の終点のブレル・シュル・ロヤに到着しました。
その町は観光客などもちろん、人が歩いていません。
「絵」のモチーフを探しながら町の中を1時間くらい歩いたのですが、川の対岸から1枚鉛筆でスケッチしただけでした。
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シュル・ロヤ
再び駅に戻ると、ニース行の列車は3時間ありません。
しかし5分後にイタリアのヴェンティミリア行の1両編成の列車があったので急いで飛び乗りました。
ヴェンティミリアまで約1時間30分。そこからニースまで約1時間のはずです。乗客は私の他に2人しかいませんでした。よい小旅行でした。(2010年筆)
かなり前に来た時は丁度ニースのカーニバルの最中でした。
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