前回(昨年の11月)伊予市宇和町の42番札所の明石寺まで回っていたので、今回はその宇和町からスタートして愛媛県内の札所をすべて回ることを目指して出発しました。
3月20日
自宅を朝7時に出発し、熊谷駅から東京、岡山を経由して、午後3時40分に愛媛県西予市卯之町駅に到着しました。前回、明石寺を打った時には時間が無く、この町をよく見学できませんでした。
今日はまだ夕食まで少しだけ時間があるので街を見学しました。とは言ってもほんの一時間程度ですが…。
今日の宿泊は、卯之町駅からすぐの「まつちや旅館」という遍路宿。
私のほかにもう一人遍路客が泊まりました。(北海道から来たというT氏という方で、その後約1週間に亘りいろいろな宿で一緒になったり、札所で出会ったりしました。)
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宿のおかみさんはとても親切な人で、食事をとっている間、ずっとそばに座って、この町のことやら遍路の情報などいろいろと説明してくれました。
明日から歩き始めるので、元気づけにお酒をコップで2杯ほどいただきました。午後8時半に消灯。
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まつちや旅館の部屋 まつちや旅館の夕食
本日の歩行距離…1.5km
まつちや旅館…7,600円(1泊2食、お酒2本、翌日の弁当付)
3月21日
朝5時に起床すると、残念ながら雨が降っていました。前日の天気予報では曇りだったのですが…。
6時に朝食をとり、おかみさんに見送られながら雨の中をスタートしました。今日は鳥坂峠を越えて伊予大洲に行き、内子まで何としても歩かないと…。次の札所の大宝寺までは約70kmあるので、途中で2泊する予定です。
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歩き始めて30分もすると雨脚は強くなり、靴はびしょ濡れになってしまいました。ビニールの雨具は着ているのですが、やはり完璧には雨を防ぎきれません。国道56号線を歩いていると、すぐ脇を車が水しぶきをたてて通って行きます。
何でこんな雨の中を歩いているのかと考えていると、だんだん小降りになってきて、9時頃にはすっかり雨はあがり、雲の合間から日が差してきました。雨が続くようなら峠を越える「遍路道」を避けて、国道のトンネルを越えようかとも思っていたのですが、何とか遍路道でも通れるのではないかと思いました。
鳥坂峠への登り口で雨具を脱ぎ、遍路道を峠に向かって登り始めました。標高差は約200mでしたが、だいぶきつい登りが続きましたが、何とか峠を越えることができました。峠からの下りは雨あがりのため滑るので、注意しながらゆっくりと…。
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遍路休憩所 鳥坂峠へ
下り切ったところに「札掛大師堂」がありますが、荒れ果ててしまってお堂は朽ち落ちてしまっていました。
未舗装の遍路道から再び国道に出てしばらく進むと大洲の町が近づきます。国道沿いにはコンビニがあるのでとても助かります。暖かいコーヒーは飲めるし、トイレは借りられるし…。
大洲城を左に眺めながら町の中を進むと、「十夜ケ橋(とよがはし)というお堂に着きました。
ここは四国番外霊場の1つとなっています。地図で確かめると、ここから今晩の宿泊場所まで約10kmです。だいぶ疲れましたが、何とか歩かないとと思い、内子の町を目指して歩き続けました。
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十夜ケ橋大師 内子座
内子の町には午後4時近くに着きましたので、宿に行く前に「内子座」に行ってみました。丁度その時は後援中で、中の見学はできませんでしたが、建物の外観だけ見学しました。
今日の宿は、内子町の「民宿シャロン」。素泊まりが原則の遍路宿ですが、一階がレストランになっているので夕食はそこでとれます。私は「お任せ定食」(1,100円)とよく歩いたご褒美にお酒を2本だけ頂きました。
私のほかには今日の宿泊者はいませんでした。
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民宿シャロン 民宿シャロンの部屋
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民宿シャロンの「おまかせ定食」
明日に備えて夜8時に消灯。
本日の歩行距離…32.9km
民宿シャロン…7,210円(1泊2色、お酒2本)
11月22日
朝5時に起床。階下のレストランで朝食セットを食べたのちに出発の準備。準備と言っても衣類等をザックに入れるだけですが…。
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民宿シャロンの朝食セット(だべ終わった後)
携帯する荷物は重くなってしまうのを避けるために無駄なものはリストからはずして極力少なくしてきました。衣類は身に着けているもの以外に2セット、雨具、携帯電話、カメラ、札所に着いた時のろうそくや線香など…。 今日は雨の心配がないので雨具はザックの奥にしまいました。今日も「大宝寺」には辿り着けないので、途中の砥部町にある「ゑびすや旅館」まで歩く予定です。
小田川に沿って国道379号線をひたすら北上します。国道と言ってもこのルートはあまり交通量はありません。たまに 車が通る程度で…したが
ってコンビニや店、食堂などはありません。前日、コンビニで今日の昼食用にパンを買っておいたので正解でした。
小田川に沿って
今日のルートには峠越えはありませんので、山登りの疲労はありませんが、国道のアスファルトを歩いていると、足のすねに疲れを感じます。
一日の行程でだいたい2~3か所の「遍路休憩所」があるのですが、大瀬という地区に「遍路休憩所」があり、そこで昼食にしました。小屋の中を見ると、「お接待」で特産の柑橘類(何という種類か分かりません)が置いてありましたので、ありがたく1つ頂きました。
今までの経験だと、歩いていると1日に数人の「歩き遍路」に会うのですが、昨日も今日もまだ誰にも会っていません。昨年、土佐路を歩いた時はだいぶいろいろな人にあったのですが…。季節的にまだ少々寒い日もあるからなのか…と感じました。
「薬師堂」を過ぎてしばらく進むと「落合トンネル」という小さなトンネルがあり、そのトンネルをくぐってから直ぐに左折し、1kmのところに今日の宿「ゑびすや旅館」がありました。
宿に着いたのが午後3時頃でした。2階の部屋に通されて、一休みした後に入浴。遍路宿では原則的に到着した順に入浴します。大きな宿や温泉地区の宿は別にして、ほとんどは一般家庭の風呂と同じ大きさです。
遍路さんによっては、一番風呂に入りたいために急いで歩く人もいるとか…。
私の後にお遍路さんが二人到着しました。
おかみさんは頭の手術を受けだばかりで、そのためか、翌日の朝食はおにぎりを用意しておくのでそれをだべてほしいとのこと。
夜8時半に消灯。
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ゑびすや旅館の夕食(超豪華!)
本日の歩行距離…21km
ゑびすや…8,000円(1泊2食、お酒2本)
部屋は2階で、結構広い部屋でしたが、となりとの境は襖なので、あまり大きな音は出せません。おかみさんが料理が好きなためとかで、たくさんの料理を出していただきました。今日は料理がおいしくて、地元のお酒を2本だけいただきました。
11月23日
朝は5時に起床、朝食は一昨日コンビニで買ったパンが残っていたので、それを食べて済ませました。頂いたおにぎり弁当はお昼に食べることにして、明るくなってからすぐに出発!
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出発
今日は「落合トンネル」まで戻り、三嶋神社から下坂場峠、鶸田峠を越えて久万高原町の44番札所「大宝寺」に行く予定です。
「落合トンネル」からしばらく進むと三嶋神社があります。
朝早いせいか誰もいません。ここで写真を撮ったり、自動販売機の缶コーヒーを飲んだりしていると、歩き遍路が一人やってきました。聞くと、「ゑびすや旅館」のすぐ近くの遍路宿に泊まっていたとのことでした。
やっと歩き遍路に会いました。
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三嶋神社 下坂場峠
「下坂場峠」は標高が570mで、さほど苦も無く超えることができました。次は790mの鶸田峠を目指します。
この峠も想像していたほどでもなく、あまり疲れることなく越すことができました。
峠を越えると約2kmで久万高原町に到着。まずは44番札所「大宝寺」のお参りを済ませなければ…。今回の旅での最初の札所です。「大宝寺」は町から約1kmほどの坂道を登ったところにあります。大宝寺に到着すると、車やマイクロバスで来たお遍路さんが約10人ほどいました。慣れないお経を読んで納経所で御朱印をいただいても、まだ午後2時半。
宿に行く前に久万高原町を見学することにしました。丁度この時期はお雛様を飾る春のお祭りの最中でした。小さな町ですが、各商店にはお雛様が飾られてあり、見事でした。
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ひな人形と
今日の宿は、「ガーデン・タイム」というビジネスホテル。比較的に大きな施設で、高校生のラグビー合宿のためたくさんの高校生、先生が泊まっていました。やはり高校生は良くだべます。それもラグビー部員とあっては…。みんなどんぶりでご飯のお代わりをしていました。
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ガーデンタイム
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ビジネスホテル ガーデン・タイム 夕食
11月24日
今日は45番札所の「岩屋寺」を往復して、また久万高原町に戻る予定です。
朝、5時半起床、6時に朝食、6時半出発!
まずは再び大宝寺に行き、その裏山を登って「峠御堂トンネル」の出口に通じる遍路道を進みました。この遍路道がかなりきつい登りで、少々まいりました。それでも何とか登り切り、トンネル出口の県道まで降りてきました。
そこからは県道を進み、「八丁坂入口」まではほぼ舗装された道を進みます。県道を離れて勾配の緩い遍路道をしばらく進むといよいよ「八丁坂」!
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八丁坂
かなりきつい登りでした。一番高いところの標高は760m、そこからは「岩屋寺」まで下り道になり、やがて山門が見えてきます。
山の中の「岩屋寺」でも参拝者がけっこう訪れていました。
マイクロバスで来た一行が、ガイドの叩く小さな拍子木の音に合わせて読経しているので、それが終わってからゆっくりとお参りしました。
こうした団体遍路が来ると、御朱印をもらうのに時間がかかることもありますが、先を急ぐ旅でもないのでゆっくりと境内を散策した後で納経所に行き、御朱印をいただきました。
帰路は県道を戻ることにしました。寺から県道に降りるのはさほど時間はかかりません。県道に出たら左にしばらく進むと「古岩屋荘」が見えてきました。大きくて立派な建物です。お遍路さんもだいぶここに泊まるようです。今日は久万高原町の「民宿一里木」に予約しているので、そこまで戻らなければなりません。
でも昼食だけでもこの「古岩屋荘」でとろうと思ってレストランに入りました。かつ丼(700円)を食べました。うまかった!
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元気が出たところで、また県道を進み、今日の宿「民宿一里木」に到着しました・
ここでは歩き遍路が私を含めて5人泊まりました。男性のみ宿泊させるという少々変わった宿です。
残念ながら、部屋や夕食の写真を撮るのを忘れてしまいました。お酒のサービスが無いので、コンビニで缶酎ハイを2本買ってきました。
本日の総歩行距離…21km
民宿1里木…6,500円(1泊2食)
11月25日
今日は三坂峠を越えて松山市の46番札所「浄瑠璃寺」に向かいます。
朝5時に起床、5人で一緒に朝食をとった後にそれぞれ出発しました。ある人は岩屋寺へ、またある人は私と同じく三坂峠へ…。私は同じルートを行く人がいても出発時間をちょっとずらして、一人で出発することにしています。というのは、それぞれの歩行速度があって一緒に歩くというわけにはいきません。という訳なのか、歩き遍路はほとんどが独りで歩いています。
三坂峠には国道33号線を登ります。久万高原を出発したときは一面霜で真っ白で寒く感じましたが、緩い上りの勾配の国道を歩いているうちに暑くなってきました。
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三坂峠方面へ 遍路道の三坂峠
緩い上り坂が終わり峠と思われる所からは「標識」に従って遍路道に入ります。やや下りの遍路道を進むと今度はきつい下りが続きます。「逆打ち」の場合は大変だろうなと思いながら下っていくと、その「逆打ち」のお遍路が登ってきました。大きなザックを背負ったまだ若い人で、今朝早く浄瑠璃寺を出発してきたとのこと。かなりの健脚です。
急な下り坂の遍路道が終わったところに休憩所がありました。ここで昼食。久万高原町のコンビニで買ってきたおにぎり2個、バナナ1本を食べていると、「民宿一里木」で同泊した遍路が追ってきました。休むかと思ったら、今日は「浄土寺」まで歩くとのことで、そのまま行ってしまいました。昨日の夕食時に話をした限りでは、もう80歳近いはず。この人も健脚だ。
しばらく進むと、「坂本屋」という昔の遍路宿があります。明治時代から大正時代にかけて営業していた遍路だそうで、平成16年に復元されたとのことです。私が通った時は鍵がかかっていて中を見学することはできませんでした。
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坂本屋前 網掛石
遍路道をさらに進むと、番外霊場「網掛石」のお堂が立っています。ここを過ぎれば46番「浄瑠璃寺」までは約7km。少々予定時間より早く着きそうです。
46番札所「浄瑠璃寺」には午後3時に着き、御朱印をいただいてもまだまだ時間があるので、次の47番札所「八坂寺」まで行って戻って来ることにしました。
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浄瑠璃寺 八坂寺
今日の宿は浄瑠璃寺のすぐ前にある「長珍屋」なので…。
八坂寺までは遠くないので、往復の時間は1時間程度でした。 「長珍屋」は大きな旅館で、団体のお遍路さんも良く利用するようです。
今日の宿泊者は、歩き遍路が6人、自家用車のお遍路の夫婦が2組、団体と思われるお遍路が5人でした。
大きな旅館なので当然大きな風呂があります。今回の旅で初めての大きな風呂で感激しました。
夕食・朝食は大きな広間で一緒に食べます。初めて沢山の同泊者と話が弾み、お酒を2本ほどいただいてしまいました。
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長珍屋の部屋 長珍屋の夕食
本日の歩行距離…25km
長珍屋…8,500円(1泊2食、お酒2本)
3月26日
今日は松山市の「道後」に向かいます。山道は無く、距離もさほどないので楽に歩けます。ただ、今日は札所等をたくさん回るので時間はかかるかもしれません。札所では本堂、大師堂でそれぞれ線香をあげて読経の後に納経所で御朱印をいただくので…。また、境内を眺めたり、写真をとったり…。
朝食は6時半、7時に出発しました。
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昨日のうちに「八坂寺」は打っていましたが、再び「八坂寺」を目指して農道を進みます。八坂寺はパスして番外霊場の「文殊院」へ。訪れる人は少ないようですが、遍路道沿いなので寄ってお参りしました。
次の48番札所の「西林寺」までは3.5km。途中、ローソンに寄ってコーヒーを飲んだりしたので約1時間かかってしまいました。
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西林寺にて
「西林寺」から次の49番「浄土寺」までは3.2km。更に50番「繁多寺」まで1.7km、51番の「石手寺」へはさらに約3km。
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浄土寺 繁多寺
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石手寺
順調に進んで石手寺のお参りを済ませたら午後3時半になっていました。石手寺は松山市の道後温泉にあるので参拝者も多く、とても賑やかでした。ホテルや旅館もたくさんあるので、たまには少々贅沢して、ハイクラスの旅館にでも泊まってゆっくり温泉にでも漬かりたいとも思ったのですが、やはり、節約して「松山ユース・ホステル」に向かいました。
「松山ユース・ホステル」は道後温泉の東にある山の中腹にあります。
ユース・ホステルだから若者たちがたくさん利用するのかと思ったら、今日の泊りは、遍路の私と、何かの工事のために松山市に来たのかと思われるオジサン3人のグループの4人だけでした。(少々拍子抜け!)まあ、シーズン中とかウイーク・エンドには若者達も利用するのかとも思いました。
部屋は2段ベッドのある個室でテレビもありました。料金が安いので食事は普通のとんかつ定食のような内容だと思いましたが。結構いい内容でした。
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松山ユースホステル 松山ユースホステルのドミトリー
安くあがったので、お酒をほんの2本だけいただきました。
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ユースホステルの夕食
3月27日
今日は52番札所「太山寺」、53番札所「円明寺」を打って、伊予北条市まで歩きます。
朝7時にユース・ホステルを出発。道後温泉の本館(現在工事中)前を通って松山の市内に向かい、途中から「なんとか川」に沿って国道と並行して走る遍路道をしばらく北に向かいます。
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道後温泉本館
すぐ見える距離で国道が走っているので、コンビニやレストラン、大型店がたくさんあります。コンビニと言えば、四国はローソンとファミリーマートが多く、セブン・イレブンは関東ほどありません。それから…、コンビニのコーヒーはすべて100円だと思っていましたが、店によって108円とられました。
やがて遍路道は郊外の農道となり、 出発から約3時間で「太山寺」に到着しました。太山寺の本堂は国宝だそうです。お参りを済ませて納経所に行くと、卯之町で一緒だったTさんに会いました。
Tさんは卯之町で観光していたため、私より2日遅れで出発したはずなのにもう追いつかれてしまいました。
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太山寺 円明寺
「太山寺」から「円明寺」までは約30分で着きます。「円明寺」の境内には当時禁制のキリシタン灯篭も立っていました。
ここから伊予北条市までは、瀬戸内海沿いの県道347号線を歩きます。ところどころで海が見えるルートで、やっと海沿いの道を歩くことになりました。
今日の宿は「水軍ユース・ホステル」。
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水軍ユースのワンコ
午後5時近くになってしまいましたが、やっと到着しました。 到着してみると、ユース・ホステルと言っても昨日の「松山ユース・ホステル」とは全く異なります。どちらかと言うと遍路用の民宿といった感じでした。今日の泊り客は、私と、歩き遍路のご老人が一人、あとは2人の小さな息子を連れた若いお父さん。夕食はちょっと変わっていて、マスターが何種類かの料理を作って大皿に盛ってあるのを好きなだけ取って食べるというシステム。
食堂は少々乱雑でした。
あと一人の遍路のご老人はすでに何度が「通し」で回っているらしく、話しぶりからして健脚のようでした。
今日も良く歩いたご褒美にお酒を2本ほどいただきました。
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水軍ユースの部屋 水軍ユースの夕食
本日の歩行距離…23km
水軍ユース・ホステル…5,800円(1泊2食、お酒2本)
3月28日
次の54番の「円明寺」付近まで歩こうと思えば歩くこともできるのですが、その後のルートやスケジュールを考慮して、今日は今治市の大西まで行くことにしました。
出発して、北条の港の写真を撮ったりしているうちに、同泊のご老人が追い抜いていきました。どうもその身なりからしてプロ(僧)かな?と思いました。
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お坊さん遍路 北条市を望む
北条の町を出ると小さな峠道となり、登ったところに「鎌大師」の休憩所があります。登りが終わったので一休みしました。見ると、「お接待」で柑橘類がおいてあり、「ご自由にどうぞ」と書いてあったので1つ頂きました。愛媛県は柑橘類の本場とあって、いろいろな種類の柑橘類がありますが、いただいたのはとても甘くてオレンジに似ていました。
旧街道と思われる遍路道を歩いていると、道に沿った商店はほとんどがシャッターを閉めて営業していません。かつては、食料品店、八百屋、魚屋、乾物屋、洋品店…だったのでしょうが…。徳島県でも高知県でも同じでしたが、もう昔ながらの小売店はほとんどが閉まっています。それも、もう何十年も前に閉店したと思われる状況です。 その中で、かなりの率で今でも営業している店がありました。床屋と美容院です。
しばらくは瀬戸内海の海沿いを歩きます。遍路どころか歩いている人はほとんどいません。

漁港
昨年歩いた土佐の海と違い、やはり瀬戸内海は静かで波が少ないと思いました。イヤになるほど海岸沿いを歩いていくと、遠くに「太陽石油」の製油所が見えてきます。大きな製油所でパイプだらけの中にタンクやら煙突やらがたくさんあります。その桟橋には大型タンカーと思われる船が数隻泊まっています。
その製油所を過ぎたところに「青木地蔵」があります。

青木地蔵 瓦屋
その「青木地蔵」を過ぎて進むと、今治市の亀岡地区に入ります。ここには大小の瓦工場がたくさん集まっています。単なる瓦、鬼瓦のほかに芸術作品のようなものもあり感心しました。
ここまで来れば今日の宿の「ビジネスホテル・つよし」までは約5~6kmの距離なので、海辺の公園でひと休みしました。
今日の宿は今治市の大西にある「ビジネスホテル・つよし」です。この宿は遍路仲間では評判がいい宿です。
部屋はツインルームできれいな部屋でした。今日は私のほかに3人の遍路が泊まりました。その中の一人にモリス・ブラウンというカリフォルニアから来た遍路がいました。聞くと、今回が8回目とのこと。恐れ入りました。
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ビジネスホテルつよし ビジネスホテルつよし部屋
本日の歩行距離…20km
ビジネスホテル・つよし…6,500円(1泊2食、お酒2本)
3月29日
今日は、54番札所の「延命寺」、55番「南光坊」、56番「泰山寺」、57番「永福寺」、最後に58番の「仙遊寺」を回る予定です。
朝食を済ませた後、朝7時に「ビジネスホテル・つよし」を出発しました。同泊のお遍路さん達は皆私より少し早く出発したようです。
まず「延命寺」までは国道を進みます。国道なので歩道が整備されているので、歩行には心配ありません。しばらく国道の左側の歩道を進んでいると、一台の白い乗用車が脇に止まりました。左側のウインドーが開いて、「これ、お接待ですので受け取ってください」と中年のご婦人が手作りの布地カバーに入ったティッシュペーパーをくれました。合掌しながら深々と頭を下げてありがたくいただきました。
1時間少々で「延命寺」に到着。納経所で御朱印をいただいていると、Tさんがやってきました。昨日は私とは別の宿に泊まって、やはり今朝7時ごろに出発したとのことでした。
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延命寺 南光坊
「延命寺」からは国道を外れて、車一台がやっと通れるくらいの遍路道を進みます。遍路道は小高い丘を越えて、霊園の脇を下っていきます。桜の並木となっていて、7分咲き程度となっていました。今日は天気も良く暖かいので、すぐに満開となりそうです。
「南光坊」は今治の市内にあり、「坊」が付いている札所はここだけです。名前は個性的なのですが、境内はこれといった特徴のあるお寺ではありません。
次の「泰山寺」に向かうには交通量のない裏道を進みます。朝食が早かったのでお腹がすきました。今日は今治の町を通るので、昼食はどこかでとれるだろうと思って、パンもおにぎりも用意していませんでした。国道沿いにマクドナルドが見えてきたので、少々回り道となってしまいますが空腹を満たすためにハンバーカー2つとアイスコーヒーをいただきました。(計300円) 本当はどこかで「うどん」を食べたかったのですが…。
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やがて「泰山寺」に到着。またまたTさんに会いました。私はマクドナルドに寄り道していたので彼よりだいぶ遅くなると思っていたのですが、Tさんもどこかで昼食をとったようです。
泰山寺は田園風景の中に立つようなお寺さんで、札所の1つになっているので当然参拝者は多いのですが、そのすぐ裏手に(歩いて5分程度)奥の院の「龍泉寺」というお寺があります。私の現役時代の大先輩のNさんからの情報で是非とも訪れようと思っていました。

龍泉寺 コーヒー阿奈波
「龍泉寺」は小さなお堂があるだけなのですが、テレビで紹介された十一面観音か掲げられているので、覗いてみたのですが分かりませんでした。すく隣に「コーヒー阿奈波」という店があります。誰もいないようなのですが、ベルがあったので押してみました。しばらくすると人のよさそうなおばあちゃんが出てきました。
このおばあちゃんが龍泉寺を管理しているとのこと。お接待でコーヒー、アンコの入った草餅を2個いただきました。
「第57番札所栄福寺」へは田んぼのあぜ道や小道を「遍路の道しるべ」に従って歩きます。
このお寺は小さいですがなかなか味のあるお寺です。(スケッチするには…)
今日は、あと「仙遊寺」だけなのでここで少々ゆっくりしてスケッチしました。
「第58番札所仙遊寺」はさほど遠くはないのですが、山の上にあります。「仙遊寺」のある地点で標高255mなのでさほど苦にはなりませんが、仁王門から始まる石段の登りは息が切れます。その石段は鬱蒼とした杉林の中を続きます。登り切ったところに本堂と大師堂、右手には今日の宿である宿坊があります。
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仙遊寺
今日、宿坊に泊まったのは私のほか歩き遍路の男性が2名、女性が1名、車遍路の夫婦が2組、バス利用の女性が1人でした。人数の把握は夕食の時に分かります。夕食の時には、どこの宿に泊まった時も同じですが…、同泊の人達といろいろと話をしたり、情報交換をしたり…。これが一つの楽しみとなります。
とは言っても、どう盛り上がっても夕食はだいたい1時間程度で終了となります。特に歩き遍路の宿では…。
部屋は12畳ととても広いのですが、テレビがありません。夕食後は何もやることもなく、明日の準備をして寝るだけ。
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仙遊寺宿坊の部屋 仙遊寺宿坊の夕食
本日の歩行距離…19.5km
仙遊寺宿坊…6,600円(1泊2色、お酒2本)
3月30日
朝6時から宿坊独特の朝のお勤めに参加し、その後に朝食。おかゆを大きなお椀に入れてくれるのですが、これが熱くて熱くて、なかなか食べられませんでした。
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仙遊寺朝のお勤め 朝食(粥)
今日は雨。昨日登ってきた石段を滑らないように注意深く山門まで下って、そこから遍路道を59番札所「国分寺」に向かいます。しばらくは下り坂が続き、下りきると田んぼの中の遍路道が続きます。
雨の中を歩くのは好きではありませんが、仕方ありません。出発前に、編み笠、ザックにビニールのカバーを付け、自分もビニールの雨具を着けます。この状態で歩くので1時間もすると蒸れてきて暑くなります。我慢しながら1時間半ほど歩き続け、「国分寺」に到着しました。
まだ雨は上がりません。雨具を着たままで蝋燭に火をつけて、線香に火をつけて…、慣れない読経は雨を避けてお堂の軒下で…。
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国分寺 桜の咲く遍路道
「国分寺」から60番札所の「横峰寺」までは27km。しかもきつい登りが待っているので、今日はその登り口に便利な「しこくや」という宿まで行って、翌朝、「横峰寺」を目指すことにしました。その宿までは約20kmありますが、坂はありません。
遍路道を示す「マーク」や「道標」に沿って歩くのですが、たまにその「道標」を見落としてしまうと迷ってしまいます。もちろん歩き遍路用の地図帳を持ってはいるのですが、それでもたまには迷子になります。 山間部の遍路道は「道しるべ」が多く、あまり心配ありませんが、里や市街地を進む場合で右折や左折が多い場合は特に注意が必要です。今日も遍路道からずれてしまって困りましたが、地元の人に尋ねたりしながら何とか遍路道に戻ることができました。
「国分寺」を出発してしばらくするとやっと雨が上がり、日差しも出るようになってきました。遍路道が県道に入り、しばらく進んだところに「道の駅 今治湯の浦温泉」という看板が見えてきました。道の駅なら何か食べられると思い、そこで小休止することにしました。まずはトイレ。道の駅のレストランというか食堂というか…、メニューを見ると「かき揚げうどん」がありました。600円! 「少々高いな」と思いましたが注文しました。ふつうは暖かいうどんの上に天ぷらが乗っているのを想像しますが、天ぷらは別の皿に乗っていました。揚げたての天ぷらでうまかった! 元気が出たところで出発!
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かき揚げ天とぶっかけうどん
たいぶ距離はありましたが、中山川を渡り、今日の宿の「しこくや」に午後4時頃到着しました。
結構大きな施設で、日帰り温泉施設もあるため観光バスも付いていました。部屋は洋室のバス・トイレ付。でも、せっかく大きな温泉風呂があるのでそちらの方へゆっくり漬かりました。
雨で衣服が濡れてしまったので洗濯も…。
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しこくやの部屋 しこくやの夕食
夕食は大きなレストランでとるのですが、テーブルに名札が置いてあり、そこへ着席します。お遍路さんは少ないようで、ほとんどが温泉客のようでした。
見回すと、2~3日前に一緒だったモリスがいたので、「名札」を無視して彼と一緒に夕食を食べました。
彼は健脚なのでてっきり私より1日行程くらい先を行っているものと思っていたのですが…、聞いてみるとすでに「横峰寺」を往復してきたと言います。私は明日なのに…。明日の宿の予定を聞くと、明日も私と同じ宿のようです。「もっと先まで行けばいいではないか」と言うと…、そう思うが予約が取れなかったとのこと。
ざま―みろ!
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モーリス
彼との話が弾んだので、お酒を2本ほといただきました。
モーリスは私と違って、既に8回も回っているとのこと。脱帽です。
本日の歩行距離…27.1km
しこくや…8,250円(1泊2食、お酒2本)
3月31日
今日はいよいよ「横峰寺」へ登ります。宿を起点に計算すると標高差が740m。
朝7時に「しこくや」を出発。
しばらくは「妙谷川」沿いに県道を上流に向かって約5kmほど進みます。谷川の水は良く澄んでいて、ところどころにヤマザクラが咲いています。
前には歩いている人は誰も見えません。後ろから追ってくる遍路もいないようです。マイペースで進んでいくと、いよいよ「遍路ころがし」への入り口の表示が見えてきました。
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妙谷川 登山道の入り口
ここからの登りは体力を消耗します。石の上を、あるいは枯葉に埋もれた獣道のような急坂を注意深く登っていきます。登れど登れどその先にまだ山道が続いています。「焼山寺」「太龍寺」もきつかったけど、この横峰寺も楽な札所ではありません。
「車だったら林道を数十分で登ってしまうのだろうなあ」などと思いながら一歩一歩登っていきます。
1人の若い遍路が追いついてきました。聞くと、上海から来たとのことでした。いろいろ話をしたかったのですが…、息が切れていてそんな余裕はない状態でした。先に行かせて、私はゆっくり行くことにしました。
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へんろころがし
それでも何とか登り切り、「横峰寺」の山門に着きました。
こんな山の上の札所なのにも関わらず、結構お遍路さんが来ていました。もちろん車の方がほとんどなのですが…。
今回、私は「順打ち」のコース通りのルートで来ましたが、歩き遍路でも「香園寺」から登ってくる人も多いようです。
せっかく苦労して登ってきたのだから少々ゆっくりしたいと思いま下が、標高が高いせいか、じっとしていると寒くなってしまいます。
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横峰寺山門の手前 横峰寺
納経所で御朱印をいただき、61番「香園寺」にくだることにしました。
今度は下り坂の道が延々と続きます。下りは細心の注意を払って、滑って転ばないようにしなければなりません。常にブレーキをかける状態で降りていくので、膝がガクガクになってしまいます。
「香園寺」は鉄筋コンクリートの博物館のような近代建築です。 これがお寺さんかと疑うような建物です。本堂の中もホールのような感じです。
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香園寺本堂内部 宝寿寺
「香園寺」の第2駐車場に62番札所の祈祷所と納経所があります。これは、従来の62番札所の「宝寿寺」が88霊場から脱退したために設けられたそうです。私はここで62番の御朱印をいただきました。「宝寿寺」は今でも以前のままありますが…。いろいろと問題があり、裁判にもなったそうですが、私にはよく解かりません。ただ、従来の宝寿寺も参拝可能なのですが、御朱印の料金が他のお寺と比較すると倍の600円とか? また境内は撮影禁止で写真を撮るとお金をとられるとのことでした。(同泊のお遍路さんの話) 私は境内の外から写真を撮りましたのでお金は要求されませんでした。(その後、この問題は和解したそうです。)
今日の宿はその宝寿寺の近くにある「ビジネスホテル・小松」。宿に行く途中に「めしや」という和菓子屋さんがあります。ここの「よしの餅」がうまいと聞いていたのでちょっと寄ってみました。とても小さくてアンコの入った上品なお菓子で、いつも遍路の企画でお世話になっているNさんと自宅に小さな箱詰めを送ってもらうことにしました。それとは別に、今日の宿にまたモーリスが来るはずなので、彼にも食べさせようと思って、小さな袋詰めの「よしの餅」を1袋買いました。
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めしや
「ビジネスホテル小松」は歩き遍路の間では評判がよく、建物も新しいきれいな宿でした。
夕食は「しゃぶしゃぶ」。うまかった!
今日の宿泊者は国際的でした。私と、モーリス(アメリカ)、ベルギーの若者、それからブラジルの女性(日本人二世)でした。ベルギーのお兄さんは1日平均30kmで歩いているとのこと。ブラジルのお姉さんは明日横峰寺に登るとのこと。盛り上がってしまったのでお酒を3本ほどいただいてしまいました。
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ビジネスホテル小松 ビジネスホテル小松の夕食
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ビジネスホテル小松の夕食
今日の歩行距離…19.5km(山の登り、下りあり)
ビジネスホテル小松…7,510円(1泊2食、お酒3本)
4月1日
今日は、63番の「吉祥寺」、64番「前神寺」を打って四国中央市の「五葉松荘」という宿まで約29kmを歩く予定です。
まずは国道11号線を通って「吉祥寺」に向かいます。約1kmと近いのですぐに着いてしまいました。まだ朝早いので参拝者はいません。ゆっくりと参拝して納経所で御朱印をいただきました。
境内に「成就石」と呼ばれる穴の開いた大きな石があり、本堂近くから目をつぶって石に近づき、金剛杖を穴に通すと願い事がかなうと言われています。
誰もいないので私もやってみましたが、何度やっても石の前にも行けませんでした。

吉祥寺山門 成就石
次の「前神寺」へは国道と並行する遍路道(旧街道道?)を進むこと1時間。「石鎚神社」の鳥居を過ぎるとすぐです。石鎚山系は昨日雪が降ったようで山々の上部が白く輝いていましたが、神社の鳥居付近では桜が満開でした。
「前神寺」は石鎚山修験の総本山ということです。大きな本堂でした。

石鎚神社 前神寺
「第64番札所前神寺」からは国道11号線に並行した旧街道と思われる遍路道を進みます。西条市の中心部は迂回して通らずに、時には細い遍路道を曲がりくねって歩きます。新居浜市に入るあたりからいったん国道を歩くことになりますが、またすぐに遍路道は旧道に入ります。
「腹が減ったなあ」と思いながら歩いていると、蕎麦屋がありました。ということで「そば定食」を注文。まずくはなかったものの、やはり蕎麦は関東の方が好きです。
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蕎麦屋やぶ平 天盛りそば
新居浜市の吉岡町(?)にお遍路の休憩所があったので、ひと休みしていると、近所の人と思われる方がお茶とみかん、菓子を持ってきてくれました。 感謝していただきました。
今日の宿の「五葉松荘」は四国中央市に入ってすぐのところにあります。立派な五葉松が玄関の前にありました。
泊り客は私だけでした。部屋は2階で、風呂や食道は一度玄関を出て別棟にあります。食事は大変親切なおかみさんがサービスしてくれました。残念ながら夕食の写真は撮り忘れました。
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五葉松荘 五葉松荘の部屋
本日の歩行距離…29km
五葉松荘…7,300円(1泊2食、お酒2本)
4月2日
今日は伊予三島まで歩く予定です。
朝6時半、「五葉松荘」で朝食を撮り、7時に出発しました。
今日のルートに札所はありませんが、番外霊場12番「延命寺」があるので寄ってみることにしました。五葉松荘から国道に沿った旧道の遍路道を進みます。
しばらく進むと「三度栗大師」というお堂がありました。遍路地図には載っていないので、由来が書かれた札を見ると、弘法大師がここを通った時に、子供から栗を1つもらったそうです。そのお礼に、これからは年に三度栗が成るようにしてあげようと言われたそうです。それが由来でこの名前が付いたとのことでした。
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三度栗大師
に約1時間ほど進むと「延命寺」に到着します。番外霊場なのでこじんまりしていますが、参拝者はぽつぽつ訪れます。札所と同じく、本堂と大師堂で読経し、御朱印をいただきました。ここ手は歩き遍路の人については「お接待」で朱印料タダでした。
寺の前に「いざりの松」というのがあります。弘法大師お手植えの松とのことですが、枯れてしまい、今は巨大な幹の根元だけが残っています。
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延命寺
宿まではまだだいぶあります。どこかで昼食をとろうと思いましたが、今日は節約して、コンビニ弁当でも食べようと思いました。しばらくするとローソンのマークが見えてきたので、さっそく中に入り弁当を買いました。
最近のコンビニは食べるためのカウンター、テーブル、椅子が用意されているので助かります。ついでに100円コーヒーもいただきました。
今日の宿は「ビジネスホテル・マイルド」。結構大きなホテルでした。
部屋は広くて快適です。五階なので見晴らしも抜群でした。ただ、エレベーターが四階までしか行かず、そこから階段で登らなければなりませんでしたが、大した苦にはなりません。 受付のおばさん(オーナーと思われます)もとても親切でした。

ビジネスホテルマイルド受付
ここでは久万高原と同じく高校生の野球部員の合宿の生徒や、出張で来たと思われる客もたくさん利用していました。お遍路は私とあと一人だけでした。
食事は一般的な定食のような内容ですが、値段の割にはまずまずでした。明日の山登りの英気を養うたに、お酒を2本だけいただきました。
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ビジネスホテルマイルド部屋 ビジネスホテルマイルドの夕食
4月3日
今日は65番札所の「三角寺」にむかい、明日の「雲辺寺」への登り口に近い徳島県三次市池田町にある「民宿岡田」に向かいます。先ずは朝食を食べてから…。

「ビジネスホテル・マイルド」の朝食は6時30分から、お遍路ならなるべく早く出発したいため間違いなくその時間に食堂に行きますが、お遍路でもない客(ビジネスマンや学生)もほぼその時間に食堂へ来て食べています。
「ビジネスホテル・マイルド」は遍路道から少々外れたところにあるので、先ずは遍路道に戻らなければなりません。地図を見ながら「三嶋公園」に向かえば遍路道に戻れるのでその公園に向かいました。
遍路道であることを示す「道標」を見つけてからはその「道標」に従って進みます。
「三角寺」の標高は500mなので、さほど苦労せずに登れるはずです。遍路道は山道もありますが、林道のような道もあり、いわゆる「遍路ころがし」と言われるような道ではありません。
午前9時に着いたので、まだ静かな中で参拝することができました。
「三角寺」を打ったことで、今回の旅の「愛媛県の札所」を全部回るという目的はいちょう達せられました。

三角寺
「三角寺」から「民宿岡田」までは結構距離があるので早々に出発しました。しばらくは杉の林の中のやや下り坂の林道を曲がりくねりながら進みます。平田の休憩所を過ぎてから、視界の開けた農道を進むと、四国別格20霊場の14番「椿堂 常福寺」があります。
「別格霊場」というものがどんな位置づけなのかよくわかりませんが、今回も「文殊院」「十夜ケ橋」「延命寺」などの別格霊場を参拝してきました。ここでも歩き遍路の御朱印料は「お接待」でタダでした。

椿堂
「椿堂」で休んでいたら、2人のフランス人お遍路がやってきました。1人はリモージュ、もう1人はロワールの小さな町から来たとのこと、この2人としばらく一緒に歩くことになりました。

フランス人遍路
今日の宿を尋ねると、「民宿岡田」は連絡したが取れなかったので山を下って麓の宿に行くとのこと。私は「民宿岡田」は約1週間前に電話で予約をとりましたが、その時に私が最後の部屋だったように記憶しています。
歩き遍路にとっては、いくつかの宿は早めに予約する必要があります。 特に山登りを控えた場所、例えば…12番「焼山寺」への「吉野旅館」、20番「鶴林寺」及び21番「太龍寺」への登り口の「金子や」や「鶴風亭」、そして明日登る66番「雲辺寺」への「民宿岡田」などです。
フランス人達と別れて、境目峠への遍路道を急ぎました。峠と言ってもほぼ林道を登っていくので、あまり峠という感覚はありませんでした。峠から約2kmで今日の宿の「民宿岡田」に到着しました。

岡田屋に到着 岡田屋の部屋
予約の時に「小さい部屋鹿開いてないよー」と言われていた通り、部屋はこじんまり(3畳)していましたが、テレビはありました。宿のおとうさん(年はおそらく90歳前後か?)曰く、「この部屋はちいちぇーけんど、菅直人も泊まったきに~」。
夕食で顔を合わせると、今日の泊り客は7人。男性5人、女性2人の歩き遍路達でした。全員60歳以上、最高齢84歳。
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みな、楽しいお遍路さん達だったので、お酒を2本だけいただきました。
食事中に、お父さんが明日登る「雲辺寺」への遍路道、そして「大興寺」「観音寺」へ下る遍路道の注意事項などを写真や手作り地図を使って説明してくれます。
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雲辺寺へのコース説明会
本日の歩行距離…20km
民宿岡田…7,100円(1泊2食、翌日の弁当、お酒2本)
4月4日
午前6時朝食、6時半、おとうさんに見送られで「雲辺寺」に向けて出発。
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民宿岡田を出発
まずは「雲辺寺口」まで旧道を進んで約1km。
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雲辺寺口(ここから後ろの山道に入ります。)
この「雲辺寺口」からきつい登りが連続します。私以外の同泊6人のうち、すでに男性3人は私より5分~10分前に出発しています。女性2人は私の後での出発となりました。競争はしたくありませんが、後ろから追ってくるかもしれない女性には抜かれたくない、などと思いながら登山を開始しました。
登っても登ってもまだ上に登山道が続いています。ザックも肩に食い込んできます。小1時間登っていくと、前方からかすかに鈴の音が聞こえるようになりました。おそらく先行する誰かの鈴だろうと思いましたが、とても追いついて抜いてやろうなどといる気力はありません。幸い下から女性郡が近づいてくる気配もありません。
息を切らしながら登っていくと、84歳の男性遍路が休んでいました。疲れたので下りはロープウエイを利用するとのこと。
簡単な言葉を交わした後、再び登り始めました。きつい登りは林道に出るまでだと聞いていますが、まだまだ着きそうもありません。
もうすぐ林道という地点でもう1人の男性遍路に追いつきました。どう見ても私よりは若いと思われますが、荷物が多すぎます。私の倍くらいのザックを背負っています。
林道に出ると、あとはなだらかな登りが続き、約2kmで「雲辺寺」に着きます。岡田のおとうさんの話だと、岡田から雲辺寺まで平均的に2時間半ということでしたが、私は2時間5分で到着できました。
「雲辺寺」には一般的にロープウエイを利用する人が多いようです。

雲辺寺 羅漢様
参拝を済ませて一休みと思ったのですが、標高が高いせいか寒くて寒くて…。
早々に山を下りることにしました。「太興寺」への遍路道をちょっと進むと五百羅漢があります。川越の五百羅漢のような歴史を感じさせるような像ではありませんが、いろいろな表情をしています。まだ苔もむしていません。一つ一つの像が少々大きい感じがします。5番札所の「地蔵寺」にも屋内に立派な五百羅漢があったのを思い出しました。
羅漢様を眺めていると、2~3日会わなかった上海から来たお兄ちゃんがやってきました。「太興寺で待ってます」と言いながら過ぎていきました。
「雲辺寺」から「太興寺」までは下りの遍路道が延々と続きます。
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太興寺への遍路道
下りは息が切れることはありませんが、膝を傷めないようにゆっくり一歩一歩下るようにしています。だいぶ下ったのではないかと思われたところで、観音寺方面が遠望できる場所があります。景色を見るとまだまだ標高の高さを感じます。
下から登ってくるお遍路がいました。どこから来たのか聞くとオランダでした。「雲辺寺はまだ遠いですか?」と聞くので、「あと半分」と答えました。にこっとして登っていきました。
67番「太興寺」にはちょうど正午頃到着しました。
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太興寺の桜
「雲辺寺」に比較すると数度暖かい気がします。境内の桜が見事に満開でした。参拝を済ませて、先に来ていた上海の兄ちゃんと境内のベンチで昼食をとることにしました。兄ちゃんだと思ったら高校生の子供がいるとのこと。だいぶアクセントはあるものの日本語は達者でした。若いころ日本に留学していたとのことなので納得しました。
それにしても今回の旅で会った外国人は、最初のモーリスはごく少々日本語が解かりましたが、あとのベルギー人、ブラジルのお姉さん、昨日のフランス人、今日のオランダ人…、ほとんど日本語がわからないのに遍路1人旅を続けているのは大したものだと感心します。ただ、共通して言えるのは、全員「スマホ」を持っていて、歩きながらもいろいろな情報を得ています。私は「ガラケイ」しかもっていないのでよくわかりませんが…。
自分の位置情報だとか、ここから〇〇に行くにはどう歩いたらいいのか、何kmあるのか、宿泊施設は近くにあるのか、とかとか…。
「太興寺」を後に、68番「神恵院」、69番「観音寺」に向かって出発しました。途中までは遍路の標識に従って農道を左折したり右折したりしながら進みますが、高速道路をくぐる少し手前からは県道6号線を観音寺市内に向かってひたすら進みます。県道に出てまもなく、右手に「うどん屋」があります、民宿岡田のおとうさんが推薦する「うどん屋」です。扉を開けて店に入ると、上海の兄ちゃんが「うどん」を食べている最中でした。私は「ぶっかけうどん」の1.5玉を注文しました。うまかった! 値段は300円
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ぶっかけうどん
68番「神恵院」、69番「観音寺」は観音寺市の市街地を通り過ぎ、財田川を渡るとすくに着きます。この2つの札所は並んで立っています。山門には両方の寺名が書いてあります。ひとつの納経所で両方の御朱印を頂けます。ただし600円とられますが…。
この2つの札所を打って今回の遍路旅は終了としました。残った香川県の札所は今年の秋に回ろうと思っています。
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観音寺
最後の宿は、観音寺駅から徒歩1分の「観音寺サニーイン」。
普通のビジネスホテルなので、お遍路さんは誰もいませんでした。
遍路宿ではないので、夕食のサービスは付きません。しかし、ホテルの1階にレストランがあったので、そこで最後の夜のため少々贅沢に食べました。骨付き若鳥のロースト、しめさば、揚げ出し卵、トマトスライス そして冷えた白ワインを2杯だけいただきました。
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サニーイの部屋 サニーインの夕食
本日の歩行距離…26.7km
サニーイン…6,200円(1泊朝食付)
レストラン…3,550円
4月5日
ホテルの朝食はバイキング方式。
岡山経由で
帰路につきました。次は秋に香川県を歩きます。
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